Thereza’s diary

都内在住アラサー会社員

『経済危機のルーツーモノづくりはグーグルとウォール街に負けたのか』を読んでみました

13年前(2010年)の本を前回読みましたが、今回も同じ2010年発行の本を読んでみました。野口悠紀雄著の『経済危機のルーツーモノづくりはグーグルとウォール街に負けたのか』です。

今回は日本から視野を広げて世界の経済です。

 

読み始めると、国際経済は70年代に作られた秩序や制度が現在(2010年)まで続いているらしいということが分かるのですが、さらに読み進めると、学生の頃世界史の教科書に出てきたキーワードと現実世界が結びつき始めます。

なお、1970年代というのは今の50代の方々が生まれた時代ですね。

 

前回の記事で高齢社会という共通点から日本とドイツの比較をしましたが、国際経済の面から見ると、この2国は”第二次世界大戦の敗戦国”でした。

 

この本では、アメリカの超大国時代は金とドルのリンクが切れた(変動相場制になった)70年代初めに終わり、敗戦国である日本とドイツが経済成長(工業化)により先進国となったと書かれています。経済成長は農業→工業への移行である、ということで世界のプレイヤー(国)を時の流れとともにうまく整理しているのがちきりん著『自分のアタマで考えよう』です。

 

70~80年代の日本とドイツの躍進後、90~2000年代は中国の躍進があります。90年代から日本は"失われた30年"に突入するわけですが、戦勝国のイギリスとアメリカは脱工業化で90年代から復活しますので、『経済危機のルーツ』で著者・野口さんが強調するように、今後日本もイギリスとアメリカのように脱工業化を目指して復活、ということになるのでしょうか。

 

東京の不動産はニューヨークやロンドンの不動産価格と比較すると割安とよく聞きますが、日本がアメリカやイギリスのように第二の経済成長が出来なかったら、国としての魅力も減少し不動産価格も下がっていくのでしょうか?ここは個人的に疑問がのこるところです。(東京の不動産価格は上がっていくと言われていますが)

 

この本で面白かったのは、アイルランドを取り上げていた点です。

アイルランドって寒くて曇ってて、みたいな気候面でのイメージしかなかったのですが、90年代にアメリカによるIT技術の進歩のおかげで、アメリカ企業のヨーロッパへの進出拠点となり経済成長を遂げていた、というのが意外でした。

大学時代に英語圏への留学ということでアイルランドに行った知り合いがいましたが、そんな国だったとは。

 

またこの本の中で、90年代に復活する前のイギリス(サッチャー政権)を舞台にした映画『リトル・ダンサー』(Billy Elliot)が紹介されていますが、この映画も感動的で面白かったです。

イングランドの田舎町で炭鉱閉鎖に対する労働者によるストライキが行われており、主人公・ビリーの父と少し年の離れた兄は炭鉱労働者でした。ボクシングジムを運営する父が、”女がやるもの”と思っていたバレエを踊るビリーを応援し始めるシーンには感動しました。また、どれだけ忠実に再現されているかわかりませんが、ビリーの住む町、家等も今のイギリスとはイメージが違ったのでそういったところの描写も楽しめました。